日本人野球選手と外国人野球選手の体格

1.緒言

メディアや日常会話では,「日本人選手は,体格的に不利である」,「外国人選手には,パワーがある」,「日本人選手は,器用だ」,「スモールベースボール」といった表現をすることがある.
こういった表現は,多くのスポーツ競技で頻繁に使われ,直接的にしろ間接的にしろ日本人選手が外国人選手と比較して,身体が小さいことを表している(もしくは示唆している).
この傾向は,数値としてはどのように表れるのであろうか.筆者の興味深いところである.そこで今日は,日本人野球選手と外国人野球選手との間の身長,体重の比較結果を報告する.

2.方法

対象者は,2017年4月5日時点における日本・プロ野球(以下,NPBとする)の支配下登録選手800名と,アメリカ・メジャーリーグベースボール(以下,MLBとする)のメジャー契約選手(40-Man Roster)1181名であった(表5.1).
計1981名のうち739名(NPB:731名,MLB:8名)が日本人選手であり,1名の日本人選手はタイ出身であった.

1981名の身長および体重のデータは,プロ野球データFREAK(online)とBaseball-Reference.com (online)に公表されているものとした.
統計処理として,日本人選手739名と外国人選手1242名のそれぞれにおいて,身長および体重の平均値,標準偏差,最小値,最大値を算出した.
また,身長の3乗は体重に比例するので,身長の3乗を独立変数,体重を従属変数とする単回帰分析を行い,身長別の標準体重(回帰式の推定値)および95%範囲体重(95%予想区間)を算出した.

3.結果

表5.2に,日本人選手および外国人選手における身長,体重の基本統計量(平均値,標準偏差,最小値,最大値)を示した.

日本人選手における身長の平均値は,外国人選手のものと比較して0.08m(8cm)低かった.体重の平均値については,12.6kg少なかった.

図5.1に,日本人選手および外国人選手における身長と体重との関係を散布図にしたものを示した.身長,体重ともに,日本人選手の方が低い値で分布していた.

単回帰式は,以下の通りであった.

日本人選手 Y = 8.295X + 33.914 (Y:体重の推定値〔kg〕,X:身長の3乗〔m3〕),推定値の標準誤差:6.204kg,決定係数0.279

外国人選手 Y = 8.435X + 39.206 (Y:体重の推定値〔kg〕,X:身長の3乗〔m3〕),推定値の標準誤差:8.610kg,決定係数0.263

表5.3に,日本人選手および外国人選手のそれぞれにおける身長別の標準体重,95%範囲体重を示した.

これは,上記の単回帰式を利用したものである.
標準体重は,単回帰式の推定値である.95%範囲体重は,その身長における全の選手のうちの95%の者が収まる推定範囲体重である.
同身長における標準体重では,外国人選手と比較して日本人選手の方が6~7kg程度少なく,「細身」であった.
各身長における95%範囲体重の範囲(範囲上限と範囲下限との差)では,日本人選手で24,5kg程度であるのに対して,外国人選手では33,4kg程度であった.

以上の結果をまとめると,野球において

①日本人選手は,外国人選手に比べて体格が小さい傾向である(表5.2,図5.1),
②日本人選手は,外国人選手に比べて細身の傾向である(表5.3の標準体重),
③日本人選手は,外国人選手と比べて身長に対する体重のバラつきが小さい傾向である(表5.3の95%範囲体重),

の3点が明らかとなった.

特に,②,③については新しい結果であるかもしれない.

考察については読者の皆様にお任せしたいところだが,これらの結果が,選手の体格評価などコーチング或いは野球談議(?)の一助となれば幸いである.

文献
①Baseball-Reference.com (online) http://www.baseball-reference.com/, (accessed 2017-04-05).
②プロ野球データFreak(online)http://baseball-data.com/, (参照日2017年4月5日).

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